雨と指
木立 悟




限りあるものに呼ばれ
窓をあけ また
窓をあけ
どこまでもつづく
不透明の向こうの
限りあるものに呼ばれ


暮れる色は
知らぬ色
誰かが色につけた名は
そのままそのまましまっておく
ずっとそのまま
しまっておく


林のかたちに
燃える池
枝に沿って
昇る水
まちがいのように
響いている


空を映した透明な柱が
時計まわりに月を囲む
縦に降る雲
見つめる川
応える間もなく
消えるささやき


三つの頭の風と雷
砂をわたり
虹をふりかえることなく
枝に埋もれた道をゆく
燃える街
けむる街をすぎてゆく


やわらかな窓に沈む指
しずくの行方を乱す指
色を持たないうたをうたう子
雨を忘れた鐘と夕暮れ
道だけの道の果てに立つ
曇の門へと歩み去る












自由詩 雨と指 Copyright 木立 悟 2006-04-17 20:24:16
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