さあい さあい
木立 悟




さあい さあい
砂の道
緑がなでる
石の道
さあい さあい
雨の指


空も 窓も
夜になり
月は廊下に
横たわる
さあい さあい
光る息


粒の声が触れにくる
双つの曇を連れてくる
屋根をころがり
うたになり
さあい さあい
触れにくる


道を洗う砂の音
遠い水の音に重なり
触れては生まれ
消えてゆく鈴
まるい淵から
こぼれゆく鈴


とどかぬままの
潮の言の葉
寝床しとねをひたす
手のかたち
こわくない舟
あたたかい舟


水と曇を召ぶ指が
気づかぬうちにまとう明るさ
どこまでも気づかぬままの微笑みで
星のかたちを描いてゆく
さあい さあい
彼方まで











自由詩 さあい さあい Copyright 木立 悟 2006-04-03 17:26:44
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