【短歌祭参加作品】ナナナナ
たたたろろろろ

便箋の字面に溶けた君の息 獣のかおり 熱っぽくって

和尚の目に浮世のひかり瞬く夜ナナナナナーナおれは彼女を

黒猫は媚薬を舐めてしなやかにふたりと海を飛び越えてゆく

「こんな事してあれだけど、この件は誰にも言うな。ピーちゃんにもだ」

真夜中に血の吹く映画を観てディナー「トマトサラダにはモッツァレラよね」

無意味のその言葉の意味も消えるほど夜がしろくて朝もまたしろ

「この本は?このビデオとか何なのよ!」「君のほうこそこそこそ何を?」

永遠に解けない魔法の味がした君の手首の傷なめた春

「パパとママ、分量や配分まちがえた?だってあんたこれ溢れすぎだし!」


ひかり  朝  愛液漬けのふたり
     朝  マシュマロ製のベッド とろ け   て







短歌 【短歌祭参加作品】ナナナナ Copyright たたたろろろろ 2006-03-31 23:02:27
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