山内緋呂子

彼が台所で欲情した

ごめん

もう




私は誰ともできないの
だって子供ができるんだよ
できたらいなくなるんだよ

彼は
左手でポケットのコンドームを揉みしだき
右手で私の頭をまるめ込む

私は まるめ込まれない

ほんとうは まるめ込まれたいことを
どうやって伝えよう

むきかけのジャガ芋に 芽が出ていた
ジャガ芋にも将来があって
私には将来があるのか

芽のまわりを撫で回し
包丁で こそげ落とす

ジャガ芋とちちくりあってもしょうがない


穴が開いて
これ以上料理するのはやめる
穴があいた


穴があいてるの





紅ショウガをさしこんで 彼に出した









Innspired byクリさん 「風穴のデジャヴ 2編」
http://po-m.com/forum/myframe.php?hid=586&from=menu_u.htm


自由詩Copyright 山内緋呂子 2004-02-07 17:30:37
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