木蓮−CALL TO ME−
蒸発王

木蓮の花が咲いたら

私を呼んで下さい

何時でも構いません
場所も問いません



私を呼んで下さい




【声】
風の音で名前を呼ばれてた気がして
見上げてしまいました
善く似ていたのです
懐かしい
貴方の音色だった


【火葬】
燃上った肢体が
ゆっくりと起き上がって
また倒れる曲線は
怖くなんかありませんでした
ただ
愛しかったのです


【遺言】
お望みとあれば
悲しみなど涙など遺さず
何も想わず
忘れてみせましょう
無数の手紙も
お望みとあれば



【夢見】
夢見たあの景色を
書きとめようと
墨をすりました
貴方の後ろ姿しか見えない
あの夢の景色を


サイコロ
振ったのは私
投げたのは貴方
出た目の数の偶然も
進む方向の必然も
上手くは転がりませんでしたね


【白木蓮】
一億年の月日の間
変わらずに在り続け
豊かな花弁は全開せずに
包み込むように空に伸びる
不変と永遠の象徴
貴方のようだ




もしもし

そこにいますか



木蓮の花が咲いたら

私を呼んで下さい


包み込むようにしか開かない花弁は
その時やっと全開するのです
貴方の声を受信するために
永遠は形を変えて
繋げていくのです
肉体と文字と言葉と宿運が
声が
繋がる永遠にして


 呼ぶ



余韻は彼方へ
波紋は細胞へ
震えがほとばしり


また
繋がっていくのです


私を呼んで下さい


白木蓮の咲く
あの場所で

私を呼んで下さい




それで全て


それが全て



全て








自由詩 木蓮−CALL TO ME− Copyright 蒸発王 2006-03-22 23:47:59
notebook Home 戻る  過去 未来