Life
霜天

森には染み渡る声が

扉を開ければ触れない写真の自転車が

東京に、はじかれれば零れていく生活が

薄い川の堤防に腰掛ける人の背中に染み付いた匂いが


襲い掛かる全てを
まな板の上で
みじん切りにする
声には出さない
痛くても泣かない


変わらないと言い続けた君の十年後の姿が

街外れに忘れられた部屋に降り積もる言葉が

書きかけた筆先の、折れ曲がった姿勢が

歩く、足跡の沈み込んでいく厚みが



やがて、繋いでいる手の、刻んでいるはずの厚み、が



ここに余計なものは全て
箱詰めにして郵送してある
君の部屋では僕の生命が
溢れかえっているだろう


世界は今、窓枠にある


自由詩 Life Copyright 霜天 2006-03-17 01:37:55
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