「囚人」
プテラノドン

 ジョンガリアーノは囚人のために服を作った。
サーカスで焼け死んだライオンの葬儀と称して
ズボンには、尻尾が縫い付けられていた。
 彼らは看守がやってくると尻尾を揺らした。
すばやく振ったつもりだったが まだまだ
練習不足だった。だからかも知れない。
看守は頭を撫でてくれるわけでもなく、
怯えるわけでもなかった。ただじっと
尻尾を見つめて、ニヤニヤ笑った。 
 あるとき、真っ赤なマニュキアをした手が
鉄格子のすき間から尻尾を引っこ抜いた。
それから尻尾は鞭として使われた。
「鞭として使う方が断然いい」と言った、看守の
身体に赤い筋がいくつも残っている。
皆、出所が待ち遠しい。


自由詩 「囚人」 Copyright プテラノドン 2006-03-10 15:41:54
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