本は必要か
プテラノドン

私は読まずにすんだ。さっき部屋にやってきた
詩も小説も読まない親愛なる友人が、
馬鹿共が書いた本に向かって、ピストルを弾く真似をしてくれたから。
私は本に開いた穴から世界を覗き見た。
 賑やかな夜だった。誰もがいい感じに酔っぱらっていて
お気に入りの女の娘に「何処から来たの?」と
訊ねられた男は「ニューヨーク」と真顔で答えたりする。
女は「あなたで三人目よ」と笑う。
だからって住所までは知らなかった。
「本当だよ」と言い張る男の真実を
誰が知ってる?そこはNYかもしれないし、
彼女は四人目のNY男に恋するかもしれない。
穴の開いた本には、そのことがたっぷりと書かれている。


自由詩 本は必要か Copyright プテラノドン 2006-03-04 00:50:26
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