コンビニバイトと食堂ウエイトレス。
クローバー
コンビニで漫画を買うことは
つまりは
すでに誰かに使われたコインを廻すことと同じではなく
テーブルが拭かれることの無い食堂と同じである
コンビニでバイトをしている僕と
テーブルを拭くことができないウエイトレスとは同じではなく
すでに誰かに使われたコインを廻すために
働いていることについてのみ同じだ
自分の裸体を売る少女と
自分の裸体を理解しない少年は似たようなものだ
留まることを教わることのない幼き心と
留めかたをしらない幼い欲望とは似たようなものだ
コンビニでアダルト雑誌を立ち読みする少年の手と
コンビニで化粧品を買う少女の手は、だから、どこか似ている
限りなく目に見えにくい夜の星を数えるように
食堂で夕食を頬張りながら、手元のコインを数える
このコインの幾つかがウエイトレスに廻って
バイト先で弁当を買いに来るウエイトレスから
また受け取れたらいい
可愛いなどと思うことはウエイトレスには無いのだろうが
コンビニのバイトは、ウエイトレスと同じではない
買うことは無いが売ることも無い
行ったり来たりしているが
そのことをウエイトレスは知らない
財布から取り出されるコインを眺めて
おつりを計算する僕がいるだけだ。