水、お湯、インスタント
クローバー

抽象的では、何もわからないと

君の声を、聞いたから

具体的ってなんだよ

と、僕の声を、飛ばしてみた



なべに水を入れて火にかける

なべの内側には、小さな泡がまとわりついて

昇っていって、はじけます



水は、まだ、水なんですかと

言わば、君は言ったので

僕は、お湯にはならない水なんてないんだけど

どこからお湯なのかは、わからないんだ、と言いました



たぶん、これくらいのことだったのに

僕らを、喧嘩させるには、いつの間にやら充分な理由になっていて

それが、僕を傷つけました

君も、きっと、気付いてしまったでしょう



沸騰したら、大きな泡を、僕は覗き込んで、君に、お湯だよと言えたのに

君は、いつまでも、中途半端なところで、僕に、聞くのです



僕も、中途半端なことをわかってて、

適当には、答えられたらよかったのだけれど、答えられないのです

適当でも、水か、お湯か、を、はっきり言えたなら

僕らは、今も、二人でゆだっていたのでしょう



なべの中には、インスタントラーメンを

適当なタイミングで、沸騰なんてしてなくても、

入れてしまえる僕だけど

君が絡むと、説明書どうりになってしまいます



つまりはそういうことなのでした

僕は、僕らを不味くしないように怯えて

君と僕の温度では、僕らをゆでられないのです

なべに、いれられないのです



抽象的にしか言えないけれど

それを謝れるほど

僕は、君を嫌いには、なれなかったのです。


自由詩 水、お湯、インスタント Copyright クローバー 2004-02-02 22:10:43
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