雨とリーズン
あまくちペルノ
今日はシモキタで独りになりたい
誰も見つけないで
私の事を見つけないで
ただのあの景色の孤独の中に
ひとりぽっちにさせて
やさしい雨のなかで
いつくしみにいだかれるのが好きだ
小さな頃 日曜日の午後
雨の中 mamaと横になって話した記憶
話すうち
私の絵が出来上がらないうちにmamaは眠る
『そっとしておいてあげよう』
夢中なって描く絵は
mamaにほめてほしくって
起きたらいちばんにプレゼントしたくて
おなかが空いて
電気はスイッチに手が届かなくて
まっくらになっても鉛筆は白を埋める
『mamaが起きてくれたらいいのに』
そのままでmamaはすう、すうと眠りつづける
夜ごはん前の 空腹の静けさ
熱中と 少しのさみしさ
暗がりの中
かけてもらったタオルケットだけを頼りに
そんなたった一部屋の景色を
窓の外から雨がつつんでいた
mamaを起こさなくても
雨がみてくれていた
わたしはさみしくなかった
ただただ 気持ちよくいだかれていた
mamaもわたしもいだきこまれて
それはなによりも大きな
多分すべてをうんだ
おかあさんなのだとおもっていた
だから私はシモキタで独りになりたい
とてつもなくおおきな愛にいだかれていたい
せまっこいくるしい愛なんていらない
おおきなきもちですべてをを愛したい
感覚をとりもどしたい
そして 壊れた携帯をなおそう
今朝けんかしたきみに おおきな愛をのせて
『ごめんね』と電波にのせよう
きっとそれさえも 雨はみつめているだろう
ちっぽけな 小さな頃の私を重ねながら