冬の風景
和泉 輪

実際の所あれは
鴉のようにも見えたし
人間のようにも見えた

真冬の朝の
まだ明けきらぬうちに
紫色の空を
私たちは見上げていた

凝固につぐ凝固
雪よりも白く美しい
骨を包んでいる皮膚と
それを包んでいる黒い服

やがて始発のバスがきて
みんな乗り込んでいなくなる
夜になってようやく
最初の一人が帰ってくる
汚れた服を着て
疲れきった顔をして


自由詩 冬の風景 Copyright 和泉 輪 2006-02-19 08:31:14
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