たった一言、それさえあれば
腰抜け若鶏

だらしなく背もたれに寄りかかって
力ない目で流れてく景色を ただじっと眺めてた

たった一言 頑張れって言葉が欲しいんだ
それだけあれば どんな無茶だって平気でやってのけるから

そりゃ僕は強い人間じゃない
でもその一言で 胸の奥で眠ってる錆付いた勇気に火が灯るんだ

僕を腰抜けなんかで終わらせないで
たった一言 それだけで何にでも立ち向かえる
たとえこの膝がガクガク震えていたって
僕はしがみついてみせるよ 振り落とされそうになりながらさ

聞いてもらえるようにわざと大声出して
涙なんかをボロボロと それっぽく流してみた

たった一言 大丈夫?って言葉が欲しいんだ
それだけあれば どれだけ泣いててもピタリと止めてみせるから

そりゃ僕は弱い人間かもしれない
でもその一言で 胸の奥で忘れられた埃かぶってる勇気に火が灯るんだ

僕を弱虫なんかで終わらせないで
たった一言 それだけで何度でも立ち上がれる
たとえ両目から溢れた涙が止まらなくても
僕は噛りついてやるよ 身も心もボロボロになりながらさ

鳴り止まない臆病風にこの心は冷やされてく
まだここで諦める訳にはいかないんだ
でも 心の中が真っ暗になっていく

もがいてもあがいても這い上がれないほど真っ黒に
今までかき集めた勇気の欠片が全部飲み込まれちまった
嫌だよ 僕はここで諦めたくないんだ

僕をこんな所なんかで終わらせないで
たった一言 それだけでここを飛び出せる
たとえこの真っ暗闇がどんなに深くても
僕は笑ってみせるよ そして今度は僕が誰かを救う番だ


自由詩 たった一言、それさえあれば Copyright 腰抜け若鶏 2006-02-16 08:47:30
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