水分
たもつ
右目がポケットに落ちた
左目を瞑るだけで
見なくて済むものは見えなくなったけれど
溜まっていたゴミや砂が入って
右目からは涙が止まらない
あの人のズボン泣いてるみたいだね
と言う男の子の隣で
母親がとても嫌そうな顔で立っている
こんなにもたくさん
身体から水分が出たというのに
何も生まれてこないし
人の絵を描けばきっと
はだ色に塗りつぶすに違いなかった
自由詩
水分
Copyright
たもつ
2006-02-15 22:00:58
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