春まだ浅き
銀猫



背なか 背なか
もたれかかった珪藻土の壁には
真昼の温みが宿り
後ろから
春の衣をふうわり掛ける

あし
足もと
埃だらけのズックの下で
蒲公英は蹲り
カタバミが少し緑を思い出している

春 春 
生命の連鎖

遠い残雪の山並みに
羊の雲を映して
天上の青


桜前線まだ遠く
朝の吐息が白んでも

春 春には
誰のものでもない愛が生まれて
微笑みが卵の殻を破るのだ


浅く
春を夢見し




自由詩 春まだ浅き Copyright 銀猫 2006-02-14 20:43:30
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