平服でおいでください
チアーヌ

平服でおいでください
そんな文字を見つめながら
思い出すあなたのこと
もう忘れたかなあ
あの日の夜のこと
特別だったのはあの日だけ
でも
たぶんあなたも覚えてるから
呼んでくれたんだね
ふたりとも
とても疲れていて
あなたも
わたしも
嫌なことだらけだった日々
その中で
たった一日だけの
幸せな夜
泣きそうだったあなたの
からだの重み
わたしの心から流れる
分泌物
お互いに
受けとめ合って
やっと癒された
あれがなかったら今頃わたし
どうなっていたかなあ
平服でおいでください
そんな文字が印刷された手紙
もらっただけで
うれしいよ
たぶんその日は平服で
会場の入り口まで行って
お花とお祝いだけを
ことづけて
帰るね


自由詩 平服でおいでください Copyright チアーヌ 2006-02-09 17:19:29
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