光の影
松本 涼
おそらくそれは夢だったのだ
夕やけを膝に乗せて僕はおもう
引き潮の静けさがこの身体を隅々まで覆っても
どこかでまだ焦げた匂いがするのだけれど
膝を転げ落ちた夕やけは世界を少しずつ
現像しながら夜の雫を集め始める
転がりながら小さく歌って
途絶えそうに空を見上げて
おそらく僕はその時 夢を生きていたのだ
寝転がった君の背中を見つめては
まるでひとりではないみたいに
自由詩
光の影
Copyright
松本 涼
2006-02-08 22:42:49
縦