緊迫夜
A道化

雲が
破け
露わになった夜は既に黒々と
艶やかで冷たい体表を完成させており
その直下でアスファルトは
終わったままの雨の微粒子で
キーン、と
光沢し


張り詰めて、いる
張り詰めて、いる
常に夜には誰もおらず
全て星座は
声にならず


ここに
どうしても発生してしまう
ああ、という音を冬が、白へ、白へと
変換してしまうのを手のひらでは防ぎ切れず
わたしは放ってしまって、ああ、の一時的な生温かさを
この体温では守りきれずわたしは
放ってしまって


冷え、消え、ゆく、呼吸
冷え、消え、ゆく、呼吸


キーン、
キーン、
光沢するアスファルトへ冷え消えゆく
ひとつひとつの呼吸を次の呼吸までには、諦め
常に夜には誰もおらず
全て星座は声にならず
ただ
キーン、と、



2006.2.8.


自由詩 緊迫夜 Copyright A道化 2006-02-08 01:37:31
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