時効
クリ


女を逮捕する
確保だが、手錠は要らない
わたしは 彼女を連行する 一人で

わたしが 遵守する法は
わたしの舌にそぐわない 少しも

徒歩で彼女を連行する
それは彼女ではなく わたしの
ささやかな抵抗 呆れ顔の甘え

夕日を見せる 最後の夕日を共有しようと する
終わった時間を描写する 記述する
あたかも いつまでも終わらないように
常に 進行形のごとく

女は 理由で
わたしは 原因であったのか
それとも 逆か

わたしは
それら一切を文字にしたため
誰かが正当化してくれる日を
待ち続け
神ではないかもしれない ナニカに
「オヤスミ」と 言う



       Kuri, Kipple : 2006.02.07


自由詩 時効 Copyright クリ 2006-02-07 03:06:15
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