雪白の約束
銀猫

コートの袖口に
凍った風が刺さり
いつか繋いだ掌を思った

小さな歴史が吹き飛びそうな日には
冷静を乱し
きみ行きの列車に
乗ろうかと考えたりする


枕木に光る足跡を
小さな獣が追いかける
希望、と書かれた列車の
指定券を買って
淡い海のような駅の名を告げ
肩に食い込むバッグ投げ出し
本能の場面を披露したなら
笑顔のひとつくらい見られるだろう


きっとそこでは
月も切ない雪白に
氷の剣を讃える

   抱き合いたい
            抱き合いたい
        
        明るい夜を
           きみと
                 溶ける

月長石の降る指輪は右手にして
ふたりから等距離にある約束を
どこかの森に隠しに行こう


自由詩 雪白の約束 Copyright 銀猫 2006-02-05 18:41:10
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