ケチャップ
まほし

ぎゅっと
ケチャップのチューブをしぼって
出来たてのオムライスに
真っ赤なうずまきを描いた
かわりに涙が
ほほを伝わないように


悪いのはお前じゃない
と 言って
君はこの部屋から出ていった


ふたりの生活は
とっくの昔に
賞味期限が
切れたはずなのに


煮えきらない言葉で
終わってしまったかと思うと
さっきから心が
内出血したみたいに痛い


それでも 生きていて
それでも お腹も空いて
キッチンに向かっても
君が少年のような顔して
大好き、と言った
オムライスしか 作りたくなくて


何が悪かったのか
わからないまま
今までよくがんばったねと
満点をあげるような思いで
うずまきを花丸にしたら


ケチャップのすっぱさと
涙のしょっぱさは
似ていることに気づいて


おかしくなるくらい、泣きたくなった


自由詩 ケチャップ Copyright まほし 2006-02-04 08:51:45
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