使命感
FUBAR

いてもたってもいられなくて
自転車で家を飛び出し
たどり着いた
誰もいない夜の学校
校舎の片隅に
置いてかざるをえなかった
あの娘の荷物
持ち主を見失って
とても寂しそうだったから
いつもの背中に戻れるときまで
僕はそいつと
友達になろうと決めた

安っぽい使命感だと言われたら
勝手な使命感だと言われたら
うまく反論できない
単なる自己満足なのかもしれないけれど
あの娘のために
何かをしたかったんだ


時間潰しにと
道行く車の数を何となく数えてみる
場をつなぐ
最適な道具も全部尽き
コンクリートに横になった
激しい睡魔に襲われながらも
頭に浮かぶのは
あの娘のことばかり
そのうち雨が降ってきて
夜警に追われ
友達に驚かれながらも
メールで励まされた

朝が来ると
喋らない友達は連れてかれた
その手を握っていたのは
慣れ親しんだ背中じゃなかったけど
なんにも言えなくて
見送ることしかできなかった

安っぽい使命感だと言われたら
勝手な使命感だと言われたら
うまく反論できない
単なる自己満足なのかもしれないけれど
あの娘のために
何かをしたかったんだ


少しでも多くの時間を共有したい
そう念ってたことは事実だけど
ずっと傍に居て欲しいとか
別れて欲しいだなんて
そんな贅沢で勝手なこと
念いもしなかった

ただ僕は
八重歯の目立つ笑顔が
本当に大好きだったから
愛するあの娘には
彼女には 君には
あなたには
誰よりも幸せでいて欲しかったんだ

安っぽい使命感だと言われたら
勝手な使命感だと言われたら
うまく反論できない
単なる自己満足なのかもしれないけれど
僕はあなたのために
何かをしたかったんだ


でも結局のところ僕は
あなたに何も
してあげられなくて
あなたをただただ
苦しめてしまっただけ


自由詩 使命感 Copyright FUBAR 2006-02-02 23:07:14
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