体温
石畑由紀子
皮膚を、
へだてているのは同じではないか、その
頂へ
ゆっくりと
のぼりつめるさま
あるいは
交わってなにひとつ溶け合わない、交わりは
交わりのまま皮膚の
上にしんしんと塗布
されてゆくもの
二体の
皮膚のはざまを震わせ、私たちは
静かに
発熱する、ゆっくりと
のぼりつめる 《ゆっくりと、》
のぼりつめる 《アルコォルランプの喉が鳴る夜に、》
私たちは 《のぼりつめる、》
目覚めた朝
私たちの毛穴はしっかりと閉じられ
それぞれのあたらしい体温が
保たれる、しんしんと
震わせつづける
祈りのなかで