嘘つきエッセイ
仲本いすら

私は知らず知らずのうちに、ロンドンの馬小屋で産まれていた。
額には「肉」とかかれた運命が刻まれており
私はすぐさま、言葉を発したのだ。そう、「神よ」と。

15歳の頃には、人を愛する術を覚え
20歳の頃には、酒の愛し方も覚えていた
21歳と5ヶ月には、もう酒にも飽きていた。

私は知らず知らずのうちに、宇宙人とのシンクロに成功したのだ。
彼らは私の額の運命に導かれ、遠い星からきたのだと宇宙船に私を招待し
おいしいふぐ料理を食べさせてくれた、その時のおいしさといったらもう。

そうそう。

今までに5万人の女性と付き合ってきたが、どれもみんなパっとしない女ばかりだった
78歳の今となってはもう、どうだっていいことなのだが
8197番目のミッツェル、私のあげた隕石のかけらを返してほしい。
今度、学会で使うことになってな。

私は、正直なところ政治家というものがキライだ。
そうだ、あいつら。あいつらは私の奥歯をだめにしていった。
ワイロだかなんだか知らないが、あいつらめ。
「甘い罠」とか言う名前のもなかなんて置いていきやがった。
おかげで奥歯は虫歯にくわれちまったよ。

そうそう。

余談なのだが、昨日の夜ゴハンは
ミスター長嶋の家でごちそうになったんだ。うまいサーモンだった。

私はうそつきが大嫌いだ。
なぜかといえば、そう、忘れもしないアノ日。
私はうそつきに「うそつき!」といわれたんだ。
おまえがうそつきだろ、と怒ってみたら
おまえがうそつきなんだ!と返されてしまった。
まったく、とんでもない世の中だ。






明日で79歳になる私だが、一つだけ気になることがある。

この嘘がバレたとき、私はどんな顔をすればよいのだろうか。





未詩・独白 嘘つきエッセイ Copyright 仲本いすら 2006-01-31 20:48:20
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