湿った足跡
436

彼はひとり荒野をゆく 

勇者ではなくもちろん賢者でもない 

彼もそのことは知っている

それでもゆくしかないのです

けれど その足跡をご覧なさい

しだいに深くうずもれてゆく

しだいに水さえたたえている

そのわけを知っていますか

彼は人知れず涙を流したのです




自由詩 湿った足跡 Copyright 436 2006-01-31 14:06:06
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