白を作る
あおば

硬質発泡スチロールの塊を
子供の頭位に丸く削り
光を混ぜる積分球の
内室の雄型にする
球体を紙やすりで磨き
眺め透かす
良い感じになったので
焼き石膏に水を含ませ
球の上に厚く塗ってゆく
何度も何度も塗り重ね
10?厚程度になったので
硬く丈夫になるように
一週間位寝かしておいた

起してから鋸で真っ二つにする
スチロールを抜き出して
出来あがった石膏面の内壁を
紙やすりで滑らか仕上げ
眺め透かす
良い感じになったので
1級の硫酸マグネシウム粉末を
内壁に薄く均等に貼りつける
接着剤は使わない
白手袋して指で優しく圧し付ける
ここがポイント
強すぎても弱すぎてもいけません
丁寧に丹念に気長に圧し付ける
穏やかに光ってきたぞ
凸凹は無いだろな
眺め透かす
もう良いだろう
分光立体角反射率は95%位かな
完全な白は100%
5%不足する
ほんの僅かな違いだが
決定的に作用して
理想と現実の世界を創生する

積分球が出来たので
行儀の悪い
ヤンキーな光り
自分本意で生意気な
嬢や坊やの澄ました光り
みんな揃って入射して
作ったばかりの積分球の
白95%の球室壁面で
何度も何度も反射して
クタクタになって
素直になって
大人しくなって
出て行って
波長を測定されるのだ

だけど
95%の白では
決定的な
何かが足りない







作2000/01/08





自由詩 白を作る Copyright あおば 2006-01-30 01:10:37
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