雪降る夜、ある町の片隅で。
腰抜け若鶏

もうすべてを忘れたいの
人形のように君はそう呟いた
閉め出された 真冬の夜

まだ絶対に何かいい事あるよ
頼りなく僕は言葉をつないだ
ぬくもりという確かなもの
知らなすぎた哀れな僕ら

同い年のあの子は今頃
温かい家の中で家族と七面鳥食べてる
膝の上には大きなプレゼント箱乗せてさ
食後にはママの手作りケーキが待ってる

誰か誰か 聞いてくれ
ぬくもりをほんの少しでいいんだ
僕らに恵んでくれ
このままじゃ僕ら凍えてしまうんだよ
誰か誰か お願いだ

どうして私達だけ?
悲しそうに君はそう呟いた
降り続ける雪 肩に積もってく

いつか僕らだってさ
涙を堪えて僕は言葉をつないだ
夢の中にしか幸せと呼べるもの
見つけられなかった惨めな僕ら

守ってくれるはずの大人達は今頃
恋人と一緒にベットの中にいる
甘い囁きを交し合ってニタニタと笑い
お互いのぬくもりを全身で感じあってる

誰か誰か 見てくれ
優しさをほんの少しでいいんだ
僕らに恵んでくれ
このままじゃ僕ら凍えてしまうんだ
誰か誰か お願いだ

もう私 疲れちゃった
ゆっくりとその瞳を閉じてく
だめだ 眠っちゃだめだ
必死になって体を揺さぶった

冷たくなっていく君
搾り出すようにして声をあげる僕
雪の降りやまない ある町の片隅で

誰か誰か 耳を塞がないで
幸せをほんの少しでいいんだ
僕らに分けてくれ
このままじゃこの子が死んじゃうんだ
誰か誰か 見ないふりすんなよ


自由詩 雪降る夜、ある町の片隅で。 Copyright 腰抜け若鶏 2006-01-29 20:34:27
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