詩力発電
プテラノドン

一万匹の野良猫たち―。私はそれを
誰もいない地下トンネルのなかで見た。
小さい火花がパチッ、と弾けるのを
「―死ぬまで身体をこすり付け合うのさ。」
イギリス人の学者の亡霊が囁いた。
 まったく寒い夜だった。
冷たいレールの上には、彼が二百年前から
ずっと探していた指先が転がっていたが
今しがた、三毛猫の雌がくわえて行った所だった。
彼の助手だった私は、これから先も―、
あの皺くちゃな指先を取り戻すまで
使い走りをするはめになっていたが、
なんなら今、猫たちが身体をこすりつけているのが
あの指先でもよかったのだが、でもしかし
どうやって奪い返せばいいのだろうか。
一万匹の野良猫を相手に、
感電もせずに?


自由詩 詩力発電 Copyright プテラノドン 2006-01-29 11:50:24
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