ローダンセ
腰抜け若鶏

真冬の夜 迷い込んだ一匹の仔猫
薄汚れて ガリガリに痩せ細ってさ

お前 いいもん食ってないな
飼い主に捨てられちまったのか?
そいつは一言 ミーとだけ返事をした

ずっと昔 俺はこいつと同じ事してた
自分の行く当てさえも分からずに 
誰彼かまわず ただ他人にすがってさ

お前が望むなら 俺は流れ星になろう
キラキラ夜空に輝く青い閃光にさ
その胸に希望がもう一度宿るまで
強く そして眩しくさ
いつか別れが来る その時まで

朝起きると 側に寄り添ってる仔猫
愛らしく 喉をごろごろ鳴らしてさ

お前 そんな可愛い顔するんだ
世の中のオスってのはみんな馬鹿だよな
お前は一言 ニャーとだけ鳴いた

自分の名前さえ知らないお前に
俺は名前をつけてやることにした
可愛い仔猫 ローダンセ

お前が願うなら 俺は流れ星になろう
ピカピカ夜空に輝く青い軌跡にさ
その胸に勇気がもう一度宿るまで
儚く そして美しくさ
いつか俺が必要なくなる その日まで

どうして? 今度はお前が尋ねる番かもな
不思議そうに 目をまん丸にしてさ

俺は昔 お前と同じ事をしたんだ
一番大切なもの 気付かないふりした
本当は十分すぎるくらい分かってたのに

きっとこれは運命なんだよ
お前と出会ったのは お前を選んだのは
可哀い仔猫 ローダンセ

お前が求めるなら 俺は流れ星になろう
静まり返った夜空に輝く青い思い出にさ
その胸に優しさがもう一度宿るまで
蒼く そして切なくさ
いつかお前が俺と同じ涙を流す そんな時まで


自由詩 ローダンセ Copyright 腰抜け若鶏 2006-01-29 08:44:30
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