ポチョムキンという言葉を聞くと
勃起した貧弱な陰茎のイメージが浮かぶ

そんな　どうでもいい会話を交わしながら
目の前で行き来する
通行人の流れとか
振り子とか
ギロチンとか
アメリカンクラッカーとか
そういうものを素早く巧みにスケッチしていく

往復するものは　いつも
そこにある種の美を秘めているから
どうでもいい会話の中に散りばめられた
ポチョムキンという言葉にも
やがて美しさが伝染していくだろう

見てごらん
通行人の流れや
振り子や
ギロチンや
アメリカンクラッカーが
往復するたびに
まるで淡い水彩絵の具が
塗り重ねられていくかのようだ

いつしか
ポチョムキンという言葉は
勃起した貧弱な陰茎とはかけ離れた
燦然と輝く美しさを放ち始めていた