100円玉拾った
ミキ・オキタ

つめたい絆
朝の6時ちょっとまえくらいだ
世界がはじまる
童話や伝承を押しのけて

無数の蝙蝠が
チョコミントアイスに散らばった
チョコチップみたいに
蒼緑色の空のなかで宴会をしながら
しずかに
今日が
無事に夜明けまで辿りつけたことを祝っている

太陽はまぶしすぎて
その本心を見つめようとしても
いっぺんもがまんできたことがないんだ

大劇場の幕開け
壮大なファンファーレは
途中で誰かがミとファをまちがえたせいで
へんなところで止まってしまった
枯れてしまった花束は静寂のにおいがする
ポケットには100円玉がひとつ
明後日造られる予定の
ぴかぴかの硬貨だ


自由詩 100円玉拾った Copyright ミキ・オキタ 2006-01-22 17:53:49
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