猥雑デイト
人間

:まぶかにぼうしをかぶって

銅が錆びた沼を過ぎて青樺に串刺す寝起きの‘薬漬けヨハン’を蚊帳に閉じ込める
そして忘れる
すなおに
きびすを返して爛熟したアバタのバッタを拾って喰う獏で籤引きをする
「アタリかハズレかでその後の人生は大きく左右されます」
梯子電車に落雁ばらまけば季節労働者の風体なれる
ハート型の氷塊を桐の皮で包んで約160バウンドさせたら
即席水銀灯の名を欲しいままに出来る「必ず、信じて」
金属の皮膚で身構える
その野獣を貫くのは赤を吸い焼けてシブーストの景色を吐く佳人
それを私の半月板に映して不埒
現代的な天竺へと猥雑デェトにしけこむ
両面の磁場を丁寧に歩いて
さしずめ闇市食堂の喧騒 それも大事
陽に照らされてでも容疑者を装える
翳り伝いに歩けば半分の目で疲れる

:とけかけのおててをつないで

影という影は視神経繊細に似た成分の窒素包丁にいみじくも捌かれて
バジルパクチーコリアンダーとか何とか名付けて番号ふれば
四つん這いの酸味や紅潮する辛味に可愛い芝居を振付ける
イラマチオよろしく見離す佳人の舌を
震わせるファルセットに粘膜をヤラれるパラレルを脊髄に流してコルセット巻く
ビーカーに籠もって排気ガス注げばコマゴメピペットで頑張れる私気分は小学4年生
「小学4年生に秘密は許しません」
商店街で無地の麻布を買って金色の指を繁殖させて横になる縦になる
丸くなって空気穴に収まる

:地層が雪崩れ込む

軽い伐採予定地なんかに足を浸して褐色電気をグッと飲むと
涙を湛えた植物性のベタは近似値から異端児になってしまって
大きなヒレで店内のインテリアをなぎ倒して逃げ回るから
店に隠された工場はほとんど空蝉
いわば柔らかいストライキ
ショート回路くわえて燻る佳人に見惚れれば
巨大ファンが冬至を掻き混ぜる
黄色い妄想は人形模様に粘って私を自白する
密かに咲いた空をかかとで処刑します

:誰に頼まれるでもなく

来たのは陶器の太陽
文句言われたって 頼まれなくたって
私は何も言わずに撫でてる つもり
韋駄天のキッチンバサミに枝打ちされた百足の恋から烏賊の骨を引き抜いて
亀甲縛りされたくて階段上る
鋳型に込めたガラス球が繰り返す哀歌も
うたううた声は西日に包まれた時だけ愛しい
ややも断罪
華客の御髪はコントラバスの弦の薫りで
切れぬ夢に犬歯突き立てる自動ドアー
「私は小学4年生ではいられない」
こうして秘密は許されたまま遠いです


自由詩 猥雑デイト Copyright 人間 2006-01-22 14:02:25
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