マイノリティー
純太

俺は本屋が好きなんだ
久しく今日も行ってきたよ

麻雀が最強になる本を
ピラピラ見ながら
となりに立ってた押し花好きの
内気なスカートさんをチラ見して
何歩か歩いてパソコン本の棚に行き
転勤したてで 
いつも晩飯食べ過ぎてる
スーツ姿氏が立ってたよ 

また何歩か歩いて
漫画本の棚に行ったなら
一年前に買った服を
思い出して着ているパンティ嬢と
バッティングセンターで肉刺を作った
気鋭で S なトランクス君が
購入の気配なく物色していた

それからまた何歩か歩いて
魚の図鑑を欲しがっている
半ズボンくんが不思議な顔して
利き手でエロ本見ていたな
師匠に呼ばれて半ズボンくんは
名残惜しそうに行っちゃった

それから俺は
文庫本の棚に向かったんだ
Tシャツはヘッセと鬼六を買おうと
あえて決めてはきたんだけど
人間失格の本にハマってしまい
購入の腹が決まったとたん
Tシャツと目が合ってしまったんだ・・・

あっ いつかの俺だ

紙から滲む美醜の群れの
匂い臭いが舞い舞いて 
俺はそれらに連鎖した
輩の中の一人だった
のちに人を立ち読み
続く性質ヨミそれが放浪

そして俺は今その観念を
上手く言えないジレンマに侵され
またそれが快感で
時好など尻目に
繰り返し繰り返し
俺は俺の不幸のいくつかを
本を開き放列を味わいながら
調べるんだ

やがて安堵を沈め
吐く息を言葉にできた時には
気概はそのままで
一時の一歩に靴を汚すつもり

それを確認できるから
だから本屋が好きなんだ
つまり俺にとって本屋は本

ただ一つ
ここ本屋に集う者たちへ 
その先で作った心の中の
オブジェは壊すものなんだ
壊し方を見付け出すんだ
壊したらまた作るんだ
その連続にやがて
いつも薄ら陽の向こうが
あなたのものになってゆくものさ


自由詩 マイノリティー Copyright 純太 2004-01-26 23:27:18
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