僕は嘘っこの汗をかいている(連詩)
便乗鴎

 ジョー

チャンピオンになって
灰になったジョー
灰燼かいじんに帰した六十年の理想
僕はクーラーのついた部屋
閉じ篭って
嘘っこの汗をかき
自分のために詩を書いている
今日カプセルホテルの一室で
男が死んだ
(彼がシステムで死んだのか
 自業自得なのかは知らない)
思うに
仲間の声は冷たい
灰になったジョー
僕をきみのジャブで揺らせ



 孤独のイシュマール

月光草
孤独のイシュマール
夜の酸素を吐き出している
つたないハートを
さも綺麗に飾りながら
静かな砂漠に生きている 僕らの偶像
遠くながれる
そして遠くながれたあとの
アバの
ダンシングクイーンが似合うね
また会おうよ
月の下ふたりきりで



 キャッチャー・イン・ザ・ライ

ホールデン
きみは最低なヤツだ
僕に
とかく似ている
だけど僕はきみのように
脱線した車両を、
川までほおっておく気は無い
しかしノスタルジアの
雨の
メリーゴーランドの傍らで
幸福を感じるなんて
酷いくらい
自奏琴オルゴールにかぶれる僕だ


ぶっ壊れるまで 
走り過ぎるまで
走り過ぎて 
自分で気づかないくらい
酷い嵐のなかで。
おとなの堤防を
軽々乗り越える
そしてボーイ・フライ・ハイ
はいに変わる
単語を手にする
ボーイは何かにとって変えられる



自由詩 僕は嘘っこの汗をかいている(連詩) Copyright 便乗鴎 2006-01-21 21:08:47
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