繋ぐ
maumi

冷たくなる手に
息を吹きかけ
電車を待つ

黄色のライトが
十字に走るくらい
寒さのもやに反射していた

土も薄氷で覆われ
ここでこんな寒かったら
と あなたの住む街のこと
少し過ぎりました

繋ぐ手には手袋をしない
と 言った言葉の重さ
どうしてそんなことをと
考えてみた

揺れる電車の窓
ふき取る手に無感情な冷たさ

繋ぐのは手ばかりではなくて
そこから伝わるものが
ほしかったのだ
と むき出しの手に着いた水滴が
あの頃 あなたの涙みたいで
今更に気がついた

暖める手袋の温度より
冷たいと感じた僕の手では
繋いだ手すら暖めることも出来ない

冷たくなる手に
息を吹きかけ
あなたの住む街のこと
少し過ぎりました

あなたともし繋ぐ時がくるなら
手袋はしない
と 曇る列車の窓をふき取った

繋がるのは
手 ばかりとは限らない・・・


自由詩 繋ぐ Copyright maumi 2006-01-18 18:26:38
notebook Home 戻る  過去 未来