遺灰
和泉 輪

夜の海が私を欲しがっている
或いは一つになれるだろうかと
踏み出した足に私は困惑する
そのとき私は生きている


そしていつも自らの中に
私は小さな一つの海を持っている
寄せては返すことを繰り返し
絶えずそれは形を変え続ける


やがて旅立っていくのか
それとも還っていくのか
私は誰かに質問したい
人が遺灰を海に撒くのは何故だろうと


嗚呼 しかし私もまた
自らの海に撒いている
寄せては返す波の向こうに
いつか燃やしてしまった自分の灰を


自由詩 遺灰 Copyright 和泉 輪 2004-01-25 03:29:35
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