Hide-and-Seek
塔野夏子
そうです
世界から隠れて
潜って居られる場所が要るのです
まじりけない初期衝動とだけ
ひたすらに戯れて居られる
そんなパラダイスを
とめどなく夢見てしまいます
子どもじみているのです
大人のふりは一応 たしなんでいますけれど
センティメントやメランコリイなら
あり余る程持ち合わせています
近頃は それに
ノスタルジアらしきものさえ
うち混じりはじめました
たとえば
明るい冬の日の午後の室内
何処かに
ひどく優しい何かの 気配を感じるのです
呼ばれているようなのです
おわかりになりますか
今 どちらに居らっしゃいますか
その場所の居心地はいかがですか
そうです
世界から隠れて
息づいて居られる場所が要るのです
とりあえず今夜は
ベッドで詩を書いて居ます
個人サイト「Tower117」掲載