エロマンガ島
遊羽

平和の島
カニバリズムの島
人を喰うことを
習慣としながらも
平和だった島
南の海に浮かぶ
緑豊かな島

ある時異人がやってきた
異人は島の木に目をつけると
島の人たちに
ガラクタを与え
人質を与え
島民の無知をいゝことに
島から緑を奪っていった
与えられた人質を喰らいながら
切り倒された白檀の木を積んだ船が島を離れていくのを
島民は見送った

次に異人は
カニバリズムの報いを受けろと
島になかった病気を運んできた
多くの島民は
人を喰らった報いと諭され
異人が持ち運んだ病気に倒れていった
平和だった島は
緑を失い
人々を失い
だんだんと何もない島へと変わっていった

さらに異人は
生き残った島の住人を
奴隷として連れて行った
異人に連れて行かれる島民を乗せた船が島を離れていくのを
見送る者は誰もいなかった
南の海の平和だった島は
全てをなくし
豊かだった頃の名残も
カニバリズムの風習も
いつしか消えてしまった

そんな島の歴史も知らず
今日も日本の中学生は
この島の名前を見ては
ニヤニヤしている
白檀の木の意味も
カニバリズムの意味も
奴隷の意味も
何も知らぬまゝ
この島の名前を見て
今日もニヤニヤしては
果てなき妄想を
繰り広げている




自由詩 エロマンガ島 Copyright 遊羽 2006-01-13 01:39:25
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