つがる
仲本いすら



街は未だにざわめきが残るけれど
フェイクファーを首に巻いたアノ人は もう、いないみたい

賑やかな場所が ほんと、ほんと大好きで
夏祭りにも来ていたし、収穫祭にも来ていたのに
アノ人のにおいは すこしずつ薄れている


りんご、


そうだ、たしかアノ人はりんごが好きだった
夏祭りではりんご飴、収穫祭ではアップルパイ
たくさん買い込んで ほんと、ほんとおいしそうに食べていたっけ


りんごがあれば 今年も来てくれるだろか


賑やかなのが好きだったのかな
りんごが好きだったのかな

この街が、好きだったのかな

それとも、


彼の好きだったりんごを ほおばるたびに

彼の甘いキスを思い出して、

     を思い出して、



また今年も、アップルパイを焼こう。



自由詩 つがる Copyright 仲本いすら 2006-01-03 23:05:32
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