ストロー
虹村 凌

ちょっとお茶でもしようよ
マックの珈琲じゃなくて
ルノワールにでも行こう
ふかふかの椅子で
お茶でもしようよ
ちょっとだけ

時々自分自身が嫌になる
自殺したいような
誰かを殺したいような
夢みたいな気分になるんだ
時々セックスしたくなる
愛の無い気持ちの無い
ただただ射精の為の
オナニーみたいなセックス

二十年はあっと言う間に過ぎていったよ
まるで恋に恋した少年みたいに
最高の自分の幻影を追って歩くみたい

ちょっとお茶でもしようよ
マックの珈琲じゃなくて
ルノワールにでも行こう
ふかふかの椅子で
お茶でもしようよ
ちょっとだけ

時々自分自身が嫌になる
愛する事を全力で否定して
嘘つきと呼ばれた心を抱えて
暗闇の入り口で震えている

二十年はあっと言う間に過ぎていったよ
煙草はあっと言う間に燃えて灰になったよ

時々無性に腕を焼きたくなるよ
時々無性に名前を呼びたくなるよ
時々自分が嫌になる
お前にさえ出会わなければ
思ってもない事を言える

キスも交わさず
乾いた時間だけを飲み干そう
そのストローで
そのストローで


自由詩 ストロー Copyright 虹村 凌 2006-01-03 21:22:46
notebook Home 戻る