【MIX&REMIX参加作品】 一過性の月をみている
簑田伶子

追いかけた音符につまづく舌のことレモネードをくむ夜のきらきら



圏外のサービスエリア出る頃に公衆電話の黄緑おもって



蜂蜜をかけて闇夜に置き去りにした君の名がかなしんでいる



珈琲の苦さも世界のおしまいも「子どもだった」で片付く体裁



隅のほうまで 日夜 赤虫 神様はただの死人だもの



引き出しのなかでちいさな人が読む、声 はねる 洗濯機になりたい



カッターをカチカチさせて保健室 今 また はためく カーテンは腕



抗菌の ボールペン握り 立ち尽くす 書けなかった ラフ・ミー ハグ・ミー



爪を噛み 吐き出してみた そのかたち なぜ泣くのか一過性の月



死してなほ国歌と定めし売女を うしなわれていく はなむけとして



鱗粉を 撒く蝶々を 姉が追い やわらかな四肢  きっと証で




短歌 【MIX&REMIX参加作品】 一過性の月をみている Copyright 簑田伶子 2006-01-03 00:09:21
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