だんべ(ぼたん雪)
まんぼう

吹雪の中を歩いていると
灰色の世界に浮かぶのは
手が届くような白い太陽

北には日本海
南は山ばかり

ひょっこりと氷壁登頂家が
足元から現れたのは
本当にびっくりした
二人して
随分際どく歩いていたんだ
ふわふわの灰色世界で
落ちても死なぬ気分だったが

丸い虹彩と影法師
凍りついたナナカマド

山小屋に入ると体中から
猛然と湯気が沸き立ち
二人で大笑いした
みみずやオケラが生きてるかぎり
確かに俺らも生きていた

夜は冷え込んで
下界を見ると
町の灯りたくさん見えて
車のライトもゆっくりすすみ
海の底を覗き込んでいるようだった

海にいさり火
夜空は星ばかり

ありったけ着込んで
寝袋を自分の息で暖めて
リュックに足を突っ込み
やっと眠った
朝、テントもビールも凍っていた

そんな事思い出した
今朝だんべが降るのをみて

連絡付かなくなって
随分過ぎた
何も変わらないが
お前はどうだ
生きているか


自由詩 だんべ(ぼたん雪) Copyright まんぼう 2004-01-22 08:15:48
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