声を聴かせて
塔野夏子

声を聴かせて
おのずから妙なる旋律を宿すその声を

流れがうまれる
その声が意識に触れた場所から
涼やかにゆるやかに
深くたゆたう流れがうまれる
私はその流れに
身をゆだね
漂う

目を閉じれば
流れがくりひろげる景色が見える
右岸ではなつかしさがささやき
左岸では予感がさざめく
それらがやわらかくまじりあうのを
深々と感じながら
私は何処までも心地よく運ばれてゆく

見あげる空には
幾重にも波紋をひろげる憧れを戴きながら

声を聴かせて
おのずから妙なる旋律を宿すその声を
私はその流れに
身をゆだね
漂う
漂う






自由詩 声を聴かせて Copyright 塔野夏子 2005-12-29 14:03:56
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