路上の風

凍った地面で
ハンドルを誤って
突っ立っているだけの電柱にぶつかり

運良く傷一つ無かったのに
進み方を 踏み込むべき場所を
忘れてしまったので
仕方なく
クラクションを鳴らし続けています


おかしくなりそうな夕焼けに
壊れてしまった標識が映し出されて

北風を背中に受けて歩く人たちが
震えている
その本当の理由は
理解できない事故に怯えているから 


少なくともこの目には
そう映るのです


雪は積もることなく
車内は暖かく
うるさい悲鳴は鳴り続け
何をするでもなく

それでもこの風が
少しずつ時間を押し流し
この体は
前へ 前へ
運ばれて行くようです

今日を確かに
過ごしたことの その記録として



自由詩 路上の風 Copyright  2005-12-18 01:30:50
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