しあわせと冬
木立 悟







伝わらぬ想いは水に成り果ててかたち失くした器かなでる




しあわせの過ぎる時刻もわからずに待てど狂えど来ぬものは来ぬ




冬空の鉄は緑に手は鈍に雪から生えし機械は銀に




左目の奥だけ青い冬道に触れるまもなく消えるぬくもり




氷から氷へ至るしあわせが照らす夢もまた照らされる夢




手のひらのかがやく海を放つとき生まれし鳥の白きくちばし




雪は澄み鏡に変わり映し出す嘘と涙の果てのしあわせ












短歌 しあわせと冬 Copyright 木立 悟 2005-12-16 19:54:42
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