断片集「連れていけない」
簑田伶子

一.




おなじ速度で落下する
きみと
きみ
の 心中しようか


亡命 なら
考えたかもしれない




二.


きみに似ているもの
・深夜のガソリンスタンド
・ボリス・ヴィアン「うたかたの日々」
・窓枠
・B5用紙




三.


きみの背中はさよならの大きさ




四.


自分さえいなければ完璧だった

思い上がることは

そんなふうに 簡単だったのに




五.


きみは黒髪が似合っていた
きみは黒髪が似合っていた
きみは黒髪が似合っていた


私のために泣くなんて 凡庸だ




六.


この話は、しぃ ね
しぃーのひとさしゆびに欲情した
ちっていくよるの
やさしいきみの

たぶん 恋だった





自由詩 断片集「連れていけない」 Copyright 簑田伶子 2005-12-06 00:40:13
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