コフーの古城
黒川排除 (oldsoup)

縦に長い城が見え対岸であり草を刈る

拇印舐めるひとさしゆびはおかあさん

天井のゴム跡とがる
日に日に ねむるごとに

木陰から飛んで弾む砂地永遠にも似て

窓向こうは逆風 数年前まで暖炉

網を投げた工員孤独なる地下の密告

小さな書簡を抱えしわが眼に朝焼けの灯るまで

牛車が揺れるのは笑うからかもしれずして笑う

おとめまぐわう
おとめまぐるしき
盗聴器かくす

脳裏の火がメモ千々に裂き蛍に似て

水面の闇生きて水鳥乱反射

希望なくして暖色の夜空這うべき接点

暗中に花を書き残して滅ぶ

濡れたままこの世の緑をみんなみる

一片のモラルとしてクリオネを差し出す

遠視の老人抜刀しつつ遠ざかる

水面をえぐる空しい月夜が好きよ

コルクボードに熱心に傷を、お客様

窓青空と密着しすぎてこの広い部屋の開かずの窓

思惑死んで人体を着て服を買いに出る

義理の父義理の杖立てば踏みにじる暗い義理

遠路はるばる 大看板の足も見えず

果てしなく長いコロニー封じて星形のサハギン

市庁舎ぬるい市長に靴下を履かせ

入眠の管に流線型のドーベルマン

電池はずす今日まで丘であった丘

白鳥も広げてみれば折り紙であり

川面で鉄塔覆う月あなたは生きて

伏せた鐘の中とかげ冬眠して人目を失う

大空がくたばっており雨後二年

アルファベット繰る節ない指


川柳 コフーの古城 Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2005-11-30 02:26:58
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