夜の声
木立 悟






「あの光、鉄に運ばれ折れ曲がる!」(聞くともなしに?)「聴く友無しに!」



行方には何も満たない満たせない欠けた器がただ響くのみ



赦されしこの道のりが生なのか幸せ捨てて呑む酒もある



ヒトからは見えぬ血の色とどろかせ「祭はどこに?」「祭はここに!」



夕暮れの斜めうしろの緋の痛み光が光に集う夜へと



カタカタとカタカタと音は聞こえくる呪いという名の希望打つ音



「帰ろうよ」声にそむいて(進もうよ)あなたではないわたしの源



転げないからだで砂を踏みしめてうつむきながら進むこの夜



転げない転げはしないこの脚は血を流しゆく楔の軌跡



またひとつ冬を越せし紙切れはわたしの胸に濡れし紙切れ



「野をゆくな!遠き水辺に至るなら」わたしをひとり歩ませる声









短歌 夜の声 Copyright 木立 悟 2005-11-28 22:33:24
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