うろおぼえのメロディーを口づさむ少女
プテラノドン

凍えた町。シャーベットの雪が降ってきた。
暗記の得意な少女が泣いていたから。
「大丈夫。ケルベロスは虫歯よ。」と、
スキンヘッドの女が笑った。
幽霊が迷子を家まで送り届ける話。をした
男の皮ジャンには、CHAOSとかDESTROYとか
書き殴られていた。ほかにも、翼をブーツにはきかえた
たくさんの天使達が―階段に座っていた彼等は
“アイドル”じゃない―彼女に手を差しのべた。
 けれど、彼女が暗記していたのは
誰かが口づさんだメロディーと、
溶けていく雪だけ。それさえ
忘れてしまうかもしれないんだってさ!
「町が退屈で燃えていたから」
少女が笑った。


自由詩 うろおぼえのメロディーを口づさむ少女 Copyright プテラノドン 2005-11-25 02:20:27
notebook Home 戻る  過去 未来