JR新宿駅
あまくちペルノ

新宿駅の構内に一人立って、行き交う人を蔑むみたいな目でみるのが好きだ。


怒鳴って歩くサラリーマンを横目に見て、抱き合って手を繋ぎ合うカップルの前を通り過ぎる。
切符売り場の前並んだ行列の先では、真っ赤な髪の女の子と疲れ切ったオヤジが隣同士切符を買う。自分の隣で切符を買ったのは?隣をみると何の特徴もないただの男だった。

ああ何も期待してはいけなかったのに。

待ち合わせの飲み会大学生、会社帰りのOLがたむろする。
世界がみんなみんなばらばらに動いているんだよな。
ああ、また何か期待していた。


人人人は少し嫌になる。

現に、さっき中野にいく途中のホームでは、去年うつになった時にあらわれた、パニック障害がふいに顔を出した。鼓動が早くなって息苦しい。まわりの景色が不安に映る。一人で立っていることが苦しい。ああ私は何を期待しているんだろう。私はどこに乗せられてくの。


思えば東京に上京した頃、私はこの人の波と人の羅列に希望を感じていた筈だった。ここに来れば何でも出来る、自分一人になれる何しても誰も見ないでいてくれる。この街のエネルギーを吸い取りたい。エナジーソースだと思ったから此処へきたんだった。

思い出した。新宿駅南口のエレベーターに向かって、此処に来てみせると誓った三年前だったんだ。

今私はいったい何をしているんだろう。
今は新宿でさめた目で人を追う。さめたふりしているのかも知れない。
そうしないと今はやられるのかも知れない。
かつての味方は敵になったのかも知れない。

何を期待しているんだろうね。独りになりたくて来た街のはずだった。
今は求めている。

私にとってのこれからの新宿はどうなっていくんだろう?
いつになっても掴み切れない大好きな街は、新宿。
いつまでも私の出発点。


未詩・独白 JR新宿駅 Copyright あまくちペルノ 2005-11-23 16:31:00
notebook Home 戻る